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おくればせの

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(自分よりも大きなおんなのこがいるのだと知ったのはこの街に来てから)
(その大きな手でつくられた繊細なお菓子)
(紅茶と共にいただいて、ほう、と一息をつく)
(彼女は愛の人だと思っている)
(光の人だとも思っている)
(きっとこれから、そのあたたかなひかりでいろんな人を包んでゆくのだと感じる味だった)


(アイスボックスクッキーを紅茶と一緒にさくさくする時間)
(この模様がかわいいよなあ、と裏表を眺めたりもしつつ)
(カードには、ゆっくりと一人頷いて)
(次はどういう勝負を仕掛けようかと想像したりもし)
(結局、殴りたくなってしまう自分に辿りついてばかりで)
(はやく再戦したいなあと逸る)


(辞書を、まず、持ち出した)
(メッセージカードの英文を和訳して)
(思わず表情がゆるゆると緩むのを実感する)
(チーズの酸味と苺の酸味、どちらもしろくてあまくて)
(まるで彼女のようだと思いながら、ミルク入りの珈琲と共にいただいた)
(ぽつ、と一言落とした音は、あの日の名残のように熱に浮かされていた)


(再度辞書を持ち出したのは、意図をちゃんと汲みたいからだ)
(それでも、単純明快、それにして言いたいことをきちんと表わしていて)
(これからもたくさん、ゆきのように重ねて行けたらいいと思った)
(クッキーに加えてトリュフも、口の中でとろかして)
(なんだか、甘いものなのに、甘い飲み物が飲みたくて、ハニーミルク)
(きらきら、ふわふわ、そんなものに囲まれたマーメイドとさかなに、笑みもこぼれた)


(黄龍の人はどうして英語ばっかりなんだろう、と思ったが彼の学校はすべて授業が英語だった)
(けれど、三者三様、日本語以外のことばで書かれた文字は、また味わいが違っていいもの)
(彼女が講師を務めたクッキーと、深い甘みのチョコ二つ)
(味わうは泡沫なれど、記憶は半永久的)
(ティーカップを出して、紅茶を淹れて)
(次のお茶会はいつがいいかな、と、うさぎさんをつつく指)


(ペンギンチョコは勿論写真を撮った)
(チョコの時期は珈琲の消費がはかどってしまう、ひとくち摘まんでは苦い温かみにほっと一息をついて)
(舌の上で味わう甘味に、もうすぐ一年が終わるのかと目を細めもした)
(これからも、よろしくね)
(自分にとっても、彼女にとっても)
(これから、が、ずうっとずうっと続くものでありたいと思った)


(香ばしいナッツの香り、ひっそりと棚の奥にしまっておいたお酒を出してきた)
(大人びた彼女を思いながら揺らす琥珀色)
(ひとつずつ、つまみながら眺める「どきどきの魔法」)
(これは、己のためだけの魔法だ)
(わくわくと合わせて、いつか宝物を探しに行こう)
(四人くらいでパーティー組んで、勿論、魔法使いもいっしょに)


(随分と印象の変わった相手からもらった、アイスボックスクッキー)
(あれから身体は大丈夫だったのかな、と、ぼんやり思った)
(飲み物はなにも準備せずに、さくさく)
(時折、胸のあたりに指をやる)
(かつんと当たる硬質な感触、まあるいわっか)
(まだしばらく、手放す機会はなさそうだと、遠くを思う夜)

(オレンジ・黄色・白の金平糖はジニア色)
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