たちのぼる

（手紙を読んでいる）
（アルバムを眺めている）
（お饅頭の顔に囲まれ）
（机に上体をしなだれかけ）
（お行儀もなにもない姿で）
（ただ小さなガラスの中で）
（たちのぼるあわだけを感じながら）
（たちのぼるときだけを感じながら）
（睫毛の影に淀んだ双眸が）
（いちまいいちまい、ひとつひとつ）
（違う字のものをそれぞれ眺め）
（たくさんのおばけたちを眺め）

………

（かつ、かつ、かつ）
（指で机をたたく音）
（三拍子の二夜を思い出しながら微睡む日）